MX4Dと通常上映の2回視聴して、劇場限定版BDと豪華版パンフレットまで購入してきました。
見なおすたびに新しい気づきがあったり、他の考察を見て気づかされることの多い作品です。一つ言えるのは、この物語はハサウェイの閃光のような生き様を描くのもあるけど、ハサウェイが感情を取り戻す話でもあるんじゃないかなと思います。心が感じ、身体が動いているのに頭がついていっていない。何故そうしたかがハサウェイにはわからない。そして心に従って動いたのに、ちょっとした行動から再び心を閉ざす。でも、脈を持ち始めた感情に嘘は付けない。それが今回のラストシーンの微妙な笑顔かなと。
小説とも違う部分が多々あるので、覚書で以下列挙。編集途中なのでパート分けは適当です。
Aパート
ハウンゼン356号でハサウェイとケネスは隣同士
テロリストが見ている乗客名簿でも確認できるが、冒頭でも隣同士なのがちらっと見える。
食事を完食したのは乗客でハサウェイだけ
フード理論を適用するなら、このときのハサウェイは”善い人”として描かれている。
「ご同僚よ、たぶん」
ギギはハサウェイが軍属であると推察したが、ケネスはまったく気付いていなかった。
「そんなだから左手の指輪を外すことになっちゃったのかな」
小説でしか語られていないが、ケネスは離婚して2年も経っていない。元奥さんの名前はジュリー、金髪白人。
監視衛星が破壊されている
このため、オセアニア空域が観測できなくなっている。おそらく、クスィーガンダムを輸送するのに監視衛星が邪魔だったため、あらかじめマフティーが破壊した。
「スーダン語、アラブ語、古いアイルランド語の構成。というよりひどいメドレー。名前じゃないわ、マフティー・ナビーユ・エリン」
酷い単語の羅列だとギギは名前を嘲ったが、ハイジャック犯は気にもしなかった。ゆえに、ギギは本物のマフティーではないと確信を得た。なお、小説ではケネスに向けての発言。
ギギの持っているタブレットに表示されている絵本
檻の中で溺れているウサギ、助けようと外から引っ掻いているキツネ、泣き叫んで倒れるウサギ。小説の描写とは異なる。これは結末を暗示しているかのようにも見える。
「……お前!」「……君の想像通りだと思う」
ハイジャック犯はマフティーを騙っているが、まさか本物のマフティーであるハサウェイ・ノアが乗船しているとは思っていなかった。「君の想像通り」というのは、「本物のマフティー」ということである。小説では読者に向けてわかりやすくハサウェイ=マフティーとわかるような会話だったが、それだとケネスや大臣たちにすら正体を気づかれると考えたのかセリフが削られる形で違和感のないものになっている。
やっちゃいなよ!(やっちゃいなよ……)
公式サイトの舞台挨拶レポートで、クェスとギギの声を混ぜていると発表あり。なお、小説版にはニュータイプ的描写はない。
コックピットで青髪のピエロに銃を向けられてハサウェイが固まる
ピエロがクェスと同じ青い髪のツインテールなので、ハサウェイはピエロをクェスと重ねてしまい、固まってしまったようにみえる。こちらも小説版にはない描写。
「わからない、気が付いたら走ってた」
後に、ギギからこのときの行動を「マフティーの名前を利用するやつらをカッとなってやっちゃった」と言われる。自分の感情をハサウェイが把握してないことがわかるシーン。
ギギが脱出シュートで降りると歓声
ギギによってたかって声をかけていたおっさんたちが、めくれるスカートの中身を見て声を上げている。つまり、腐敗した連邦政府を示唆しているともいえる。
Bパート
後に閣僚が18人殺害されて、と言われているので、この時に握手した人を含め、ハウンゼンに登場していた閣僚たちのほとんどは殺されたものと思われる。
ハサウェイが飲んでるドリンク
32階のスウィートルーム
小説版は36階。なお、最上階も43階でこちらは変わりない。36階だと爆撃から逃げるには高すぎると判断されたためだろうか。
閉まるエレベーターのドア
それまではギギのことを考えていたが、エレベーターのドアが閉まると次のシーンではマフティーとしての自分になっている。ドアが閉まる=心を閉ざす、のを暗示しているかのようだ。
夕食を食べるハサウェイとの会話
本心を語らないハサウェイを表現するために、部屋は暗いままで表情を読みづらくしている。しかし、ケネスはハサウェイを疑ってはおらず、素で語ってそうなのが対照的。
「あれが新型なら、アナハイムはやりやがったってことだ!」
クスィーガンダムに搭載される試作型のミノフスキー・フライトを、連邦軍のペーネロペーにも搭載したから。
ケネスに駆け寄るギギを見るハサウェイ
「逆襲のシャア」のシーンが重なるこの場面。監督がハサウェイの原点はクェスがシャアの元に駆けていったあのときだとインタビューに答えているため、大変重要なシーン。ケネス=シャア、ギギ=クェスとハサウェイは重ねて見ている。ケネスがわざわざ黒い馬に乗って現れたのも、シャアを意識した演出。ハサウェイの顔が真っ黒に見えなくなるのは、心がどす黒く濁ってしまったことを表しているのだろう。メッサーの市街戦での大混乱の最中、仲間から文句を言われながらも、危険を潜り抜けてギギを安全なところまで連れてきたのに、ケネスを見たらあっさりハサウェイから離れるのは非常に残酷。なお、ケネスもギギも悪気は全くないのが悲しいところ。
軍基地内で3人の朝食
ケネスの「俺と寝てくれれば」のあとのハサウェイのセリフが「嫌いだな、そういう言い方」と飛び、ギギの「だからって大佐のような大人の慣れ過ぎた言葉も嫌いです」に繋がる。ハサウェイがギギと身体の関係を持ちたいと思っているという無意識の発言が削除されたことで、第一部最後までの流れがすっきりするようになった。
いいよなぁ、年上の女って
なんとなく分かる場面でもあるが、小説版の描写も併せて考えると、ボートの手配をしたのは、ハサウェイの現恋人のケリア・デース。
ケリア・デースの顔が一瞬ぼやける
ケリアとは結婚まで考えていたが、ギギに出会い、彼女に対する感情が色褪せてしまった=顔がぼやける。しかしハサウェイにはそれがわからない、という演出だと思われる。