文庫版を読了。ゲーム小説とはいうものの、ゲームは一切出てこず、夢の中で見る異世界とリンクしている、というもの。まずここで引っかかった。
あとがき担当が神坂一「日帰りクエストシリーズ」をゲーム系小説にカウントし、本作品と同一ジャンルとするのも不思議。
仮に、下記のコラムを参考にゲーム系小説を「主人公と世界の関係性に焦点を当てた小説群」と定義した場合、「クジラアタマの王様」はまごうことなくゲーム系小説になるだろう。しかし上記の「日帰りクエストシリーズ」はゲーム系小説には当てはまらない。世界のルールではなく、異世界との異文化交流がメインだからだ。
ここらの定義に疑問を持つのは些末なことかもしれない。
が、物語で特になにも明かされず、夢で見る異世界での仲間と現世でオフ会で終わってしまったのが残念。その後は異世界とのリンクが切れたのも謎。
わざわざ異世界の描写は挿絵にして凝っていただけに、もう少し丁寧な終わり方をしてくれればなと思わざるを得ない。
ここまで残念な感想になるのは帯のアオリが「世界の秘密を知ってるか?」と壮大なスケールを匂わせつつ、何も解明されずに終わったからですね、うん。