さまざまな理由で親元からはぐれた子供たちが、”どろぼうの神さま”に導かれてヴェネツィアの廃映画館で暮らしていく物語。
最初は次第に事態が悪化していくのが感じられ、どのように物語が転がっていくのかと思ったけど、途中から「メリーゴーラウンドに乗ると年齢が可変できる」と完全にファンタジー要素が入ってきて困惑しました。
結局、子供たちに都合の良い大人の助けを得てヴェネツィアで暮らしていく、という結末なのですが、子供たち全員が幸せになるというわけでもなく、主人公周りの選ばれた何人かだけ、というのがモヤモヤする。
大人と対決することで子供の成長を描いていく、ではなくて逃げ出した先で生きて行くことが成長なんだろうか。主人公の兄弟以外はヴェネツィアに流れ着いた背景がほぼ描かれないのでそこも釈然としない。
日本と海外ではジュブナイル小説の描き方や解決方法の提示も異なってくるのかなと思った一冊でした。